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CHAR(11) コンファレンス参加レポート

NTTデータ先端技術
鈴木幸市

イギリスで開催された PostgreSQL の高可用対応やレプリケーションのコンファレンスに参加してきました。

CHAR とは?

CHAR とは、Clustering, High Availability, Replication の略語で、 PostgreSQL データベースを複数組み合わせて高可用を実現したり、 レプリケーションなどを介して性能のスケールアウトを狙ったりする技術を発表、共有するための国際会議です。 PostgreSQL 本体でストリーミングレプリケーションが実装されたことが契機となり、 これに大きな貢献をした Simon Riggs 氏の呼びかけで昨年から始まりました。

(11) は開催年を示すもので、昨年は CHAR(10), 今年は CHAR(11), 来年はCHAR(12) となっていきます。 参加者はこの領域の専門家で、今年はヨーロッパ、アメリカを中心に約 60 名が参加しました。 Postgres-XC という並列クラスタの開発を行なっている関係で昨年、今年と講演を依頼されての参加でした。 アジアからの参加は残念ながら報告者のみでした。

場所はケンブリッジ

開催場所は、昨年のオックスフォードに続いてイギリスのケンブリッジでした。よく知られた大学の街です。 ヒースロー空港からバスで 2 時間半以上かかります。

7 月は日本ではうだるような暑さですが、ケンブリッジは上着が必要なほどで湿度もなく、大変過ごしやすい気候です。 街の中心部にケム川という川が流れていて、たくさんの橋がかかっており(これが地名のもとだそうです)、 パンティングというボート漕ぎ(こぐというより竿を川底に立てて進めます。少し要領が必要です)が名物です。

 

街の多くを大学の建物が占めており、ヘンリー八世の創設したキングスカレッジなど、歴史的な建物が多く見られます。
万有引力も DNA もこの地で発見されたのですね。

 

 

 

 

 

コンファレンス

コンファレンスは、昨年は Oriel College というオックスフォード大学の施設で行なわれました。 今年はケム川の河畔にある Double Tree Cambridge というなかなかおしゃれなホテルでの開催です。 会議は 7 月 11 日と 12 日の 2 日に渡って行なわれました。

講演の概要は コンファレンスページ に掲載されていますので 参考にしてください。

 

コンファレンス 1 日目

PostgreSQL の最初のレプリケーションシステムである Slony-I を開発した Jean Wieck 氏による基調講演から始まりました。 レプリケーションの歴史、用途、それらに合わせた実装についてのまとめを語ってくれました。 第 1 日めの講演は多くが PostgreSQL 9.0 で実装されたストリーミングレプリケーションを用いた レプリケーションのアプリケーションの講演を占めていました。 Simon Riggs 氏からは、PostgreSQL 9.1 で実装されている同期レプリケーションを含め、 PostgreSQL のレプリケーション機能の解説もありました。

おもしろかったのは、Hannu Krossing 氏の「PostgreSQL 8.x におけるストリーミングレプリケーション」という講演で、 ユーザ定義関数を使って古い PostgreSQL でもストリーミングレプリケーションが可能になるというもの。 Python を使って実装したそうで、新しい PostgreSQL に移行が困難なアプリケーションでも ある程度の高可用性を実現することができるそうです。

コンファレンス 2 日目

2 日目は並列クラスタを中心とした発表になりました。 報告者の発表した Postgres-XC をはじめ、最近オランダで始まった MGRID, 古くからデータウェアハウスで商用製品を展開している Greenplum とその周辺の応用について、報告と議論がなされました。 PostgreSQL の並列システムがまとめて報告されるのは初めてだと思います。

これら 3 つのシステムについて、急遽パネル討論を開くことになり、報告者もパネラーとして参加しました。 パネルでは、クラスタを利用した並列SQLや、地図情報への適用、SQLに応じた複数のテーブル分散の提案など、 専門的で興味深い質疑が交わされました。

さらに、Slony-I からストリーミングレプリケーションへの乗り換え事例など、実用事例の報告がなされました。

コンファレンスの感想

2009 年、日本での PostgreSQL Conference に合わせて 最初のクラスタ会議が開催されたのを皮切りに その後昨年の CHAR(10), 今年の PGCon 2011 に合わせた Cluster Summit, そして今年の CHAR(11) と、PostgreSQLクラスタリングの会合が定期的に開催されるようになってきました。 CHAR(11)では開発のみならず、実際のアプリケーションでの利用例も多く報告されたのが大変印象的でした。

コンファレンス後の宴会(一応夕食)は、古い大学の街らしく、大学の施設を使って行なわれました。 大学は多くのカレッジでできており、各カレッジにこのような施設があります。

コンファレンスの準備、進行は手作り感満載ですが大変効率的に行なわれていました。ホテルや大学がうまくサポートをしてくれていました。

 


(2011年 8月 22日公開)

 

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