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PostgreSQL Conference in China 2011参加レポート

SRA OSS, Inc. 日本支社 石井達夫

中国のPostgreSQL事情とは?

お隣の国中国ではPostgreSQLは使われているのか?使われているとしたら、誰がどんなところで使っているのか?こんな疑問を皆さんも一度はお持ちになったことがあるのではないでしょうか。本家のメーリングリストにもほとんど中国の方らしき人が登場しないこともあって、中国のPostgreSQL事情はあまり知られていません。そんな (PostgreSQLに関しては) 謎の国、中国からある日「はじめて中国でPostgreSQLコンファレンスをするので、講演してくれないか」という依頼が舞い込みました。これは日頃の疑問を解消するチャンスだとばかりに、講演依頼を引き受けました。

開催地は広州

広州の街並み今回コンファレンスが開催されたのは、香港がある広東省の広州です。広州は2800年以上の歴史を持つ古都ですが、一方で人口8000万人を抱える近代都市でもあります。日本では「食は広州にあり」ということわざが有名ですね。期待に胸を膨らませながら、広州へと向かいます。広州は亜熱帯に属する地域で、日本に比べるとかなり蒸し暑い感じですが、一日1回はあるスコールのお陰で、空気はきれいで、緑も花も豊かです。

いよいよコンファレンス開始

conference entranceコンファレンスは、広州市内にある暨南大学 (かなん) 大学で、2011年7月15日から16日の二日間に渡って行われました。

調べてみると、暨南大学は当初南京で設立、その後、戦争などで上海や福建省建陽市への移転を経て、広州で1958年に再建された波乱にみちた歴史を持つ大学です。

会場入り口ではお馴染み「熱烈歓迎」の文字が入った垂れ幕が出迎えてくれます。写真の男性は、今回のコンファレンスのオーガナイザのGaly Leeさんです。Leeさんは日本でPostgreSQL Conference in China 2011 receptionPostgreSQL関連の仕事をしていた経験があり、日本語が達者、英語もおじょうずです。今回のコンファレンスでは、オーガナイザだけでなく、日中英の通訳もこなすなど、大活躍でした。

受け付けは見慣れた PostgreSQL Conferenceの受け付けそのもの。Tシャツや、200ページ以上もある立派な予稿集もいただきました。

コンファレンス会場は、100名ほど入りそうな部屋で、有料にもConference lunchConference boat関わらず、ほぼ満席でした。参Conference room加者はほとんど社会人で、地元のテレコム企業や、日系企業からの参加もありました。

コンファレンスにはランチもついており、近くのレストランに移動していただきます。さすがに食にこだわる中国、という感じの充実したランチで、おいしくいただきました。

コンファレンスの初日の夜には、市内を流れる大きな河をクルーズしながらの懇親会が行われました。乗船のときに、南国らしく(?)ものすごいスコールとカミナリに襲われましたが、皆さんまったく気にしていません。船に乗ってからは、おいしい食事と、美しい夜景を楽しみながらの楽しい懇親会となり、お互いに親睦を深めあいました (右の写真は、Galy Leeさんご提供)。

主な講演内容

ここでは、2日間のコンファレンスの中で、興味深かったものをご紹介します (中国語の発表がほとんどなので、内容を理解できなかったものは除外してあります)。

コンファレンスで行われた講演の詳しい内容は、コンファレンスページでご覧になれます。

PostgreSQL Introduction

PostgreSQLの歴史から、機能やアーキテクチャの紹介。良くある講演内容ですが、後半は HA (High Availability) のアーキテクチャ分類や、SANやクラウド環境での大規模システムの構成例なども紹介されていたのが面白かったです。

PostgreSQLの原理紹介

PostgreSQLの内部構造の解説です。「PostgreSQL Introduction」と併せて、一通りPostgreSQLの中と外が理解できるという仕組みのようです。Oracleとの内部構造の比較もあり、なかなか有用でした。

Migration Application from MS-SQL to PostgreSQL

Microsoftの SQL ServerからPostgreSQLへの移行に関する経験とノウハウです。Oracleからの移行の話題は良く聞きますが、SQL Serverからの移行はあまり聞いたことがなかったので、興味深く聴講しました。両データベースの文法の違いが、DCLで1%、DMLで2%、DDLで44%などと具体的に数字で示されていたり、非常に実践的な内容でした。

BDB上でSQLパーサを実装

Berkeley DB上に SQLパーサを実装しました、という報告です。CREATE TABLE、INSERT/UPDATE/DELETE/SELECTが実装されているようです。もちろんSQLとしてはかなりサブセットになっています。正直言って、必要性や有用性には疑問もありますが:-)、こういう手間暇かかることをやってしまうパワーがあるという点に感心しました。

PostgreSQL Stream Replication + pgpool-II + HA

PostgreSQLのストリミーングレプリケーションと、pgpool-II、Red Hat Cluster Suiteを使ったシステムの実現報告です。筆者の基調講演とともに、本コンファレンスでの pgpool-IIに言及したセッションの一つです。

PostgreSQL Community and its development in China

今回のコンファレンスのオーガナイザである Galy LeeさんによるPostgreSQLのコミュニティの紹介と、中国における PostgreSQLコミュニティの現状、そして将来の展望です。Leeさんは、このコンファレンスをきっかけに、中国にも本格的なPostgreSQLのユーザグループを作りたいと考えており、熱意に溢れた講演でした。これが後述のパネルディスカッションにつながっていきます。

Data-Modifying CTEs: A New Programming Paradigm

筆者の講演とともに、もう一つの基調講演となった David Fetterによる Writable CTEの解説。

ベンダーの講演

今回のコンファレンスでスポンサーとなっている、EMC、GreenPlum、VMWareから、主に製品に関する講演がありました。この中では、David Fetter氏による、VMWare ESX Server上でPostgreSQLを使う場合のチューニングポイントに関する講演が大変参考になりました。

アポなしパネルディスカッションPanel Discussion

コンファレンスの最後に、突然パネルディスカッションをやることになり、パネラーとして参加しました。パネルの議題は、中国でPostgreSQLコミュニティを作るにはどうしたらよいのか、ということでした。中国語と英語を交えたパネルで良く分からない部分もありましたが、中国でPostgreSQLを広めていきたい、という熱意は充分伝わってきました (パネルの写真は、Galy Leeさんご提供)

最後に

中国での初のPostgreSQLコンファレンスに参加するという貴重な体験をしました。とにかく感じたのは皆さんの熱意でした。講演が終わると人垣に囲まれ、熱心に質問を受けることもしばしばで、こういう熱い雰囲気は日本や他の国のコンファレンスとは大きく違っており、圧倒されました。熱意はそれだけでなく、pgpool-IIのドキュメントを中国語に翻訳したい、という有難い申し出があり、今取り組んでいただいているところです。

色々な困難はあるでしょうが、今後中国がOSSの世界でも存在感を持ってくると思いました

また、今回のコンファレンスにご招待いただき、滞在中大変お世話になった Galy Leeさんに改めてお礼を申し上げたいと思います。

Group Photo

(集合写真の提供はGaly Leeさん)


(2011年8月29日公開)

 

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