PGCon 2014 Unconference Day参加レポート
富士通株式会社
榎本 友理枝
はじめに
図 1: Josh Berkus が Unconference の進め方を説明
PostgreSQL Conference (PGCon) 2014 が 5 月 20 日~ 24 日にカナダのオタワで開催されました。 PGCon は、世界各国から PostgreSQL 開発者が集まる、コミュ二ティ最大のカンファレンスです。 5 日間のカンファレンススケジュールは、20 ~ 21 日に Tutorials Day (20 日は Tutorial と並行して Cluster Summit も実施)、 22 ~ 23 日に Talks Day (9.4 以降の機能紹介、ケーススタディ、運用管理の Tips などの講演)、 そして 24 日(最終日)が Unconference Day でした。今回は、この Uncoference Day をご紹介します。
Uncoference Day とは
図 2: Unconference のルール
Unconference とは、参加者が当日その場で議題やスケジュールを決めて、発表・議論をするミーティングです。
発表者は、大きな付箋に議題を書き、議論したい内容を順番に 1 分ほどスピーチします。 スピーチ後、参加希望者数をカウントし、その人数によって、部屋の割り当てや時間割をその場で組みます。
図 3: 発表者が議論したい内容を説明します
図 4: 当日決まったタイムスケジュール
今回の Uncoference は以下のようなスケジュールになりました。
表1:今年の Unconference のセッション一覧
10:45~ | Pluggable storage engines, FDW, columnar storage | ||
12:00~ | In core logical replication | More granular superuser permissions model | PG.conf |
14:30~ | VODKA && JSQuery | SysAdmin Best practices | Business Intelligence |
15:30~ | Overview of source code | extension system wishlist | wait interface/performance events |
16:30~ | Building appliances with PostgreSQL (Clusters, HA etc.) | Bitmap only scan |
1セッション 50 分で行われます。セッション内容は、今後のバージョン(9.5 や 9.6?)に向けた機能がほとんどでした。 他には、ソースコード改善や性能改善のためのチューニング方法の提案などがありました。
主なセッションの様子
1 つ目のセッションは、カラムナストアの FDW を OSS として提供した CitusData がファシリテータで、 今後のエンハンスに向けた議論でした。このセッションは参加希望者が過半数だったため、 全員参加で 1 つ目のセッションに割り当てられました。
議論のポイントはカラムナストアを実現するうえでの課題でした。 WAL の統合(ストリーミングレプリケーションへの対応)やロック機構、Pluggable storage engine と FDW の関係などが議論され、途中 Tom Lane がカラムナストアの課題を語る場面もありました。
またBI (Business Intelligence) ソリューションにおける PostgreSQL の運用面の課題をテーマにしたセッションでは、 2nd QuadrantのSimon Riggs がファシリテータとなって、議論されました。 キーワードに、カラムナや COAST (Column-Oriented Attribute Storage Technique)、 BIのための分析関数や近似関数が挙がっていました。
なお、一部のセッションの内容は Wiki で 公開されています。
さいごに
図 5: セッションでの議論 ― 軽食を取りながら聴きます
(バナナやマフィンが出ました)
今年の PGcon 参加者は 239 名でしたが、そのうち 70 ~ 80 名ほどが Uncoference Day に来たのではないかと思います。 参加者が予想以上に多かったせいか、昼食用に用意した Pizza が参加者全員に行き渡らず、 追加注文するハプニングがありました(おかげで私も無事にお昼をいただきました)。
各セッションでは、PostgreSQL の既存機能の弱点をどのように改善していくか、 また開発中の機能の課題を共有して議論するなど、 今後の PostgreSQL の方向性に関して意見が交換されました。 今回の Unconference Day は、50 分のセッション時間を延長してしまうほどの大変活発な議論を通じて、 PostgreSQL のバージョン 9.5 以降に向けて、コミュ二ティの主なメンバーが考えている将来の展望を垣間見ることができ、 とても有意義なイベントでした。
(2014 年 7 月 18 日公開)